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かぶれ

手をやくカブレ

 美顔的には顔のカブレを大別して次の三つの型が考えられています。

 

1)アレルギー説で過敏症のうちの遅発(遅延)型といわれるもので、たとえば、しばらく使用していなかった化粧品を使った後「数時間~12時間」後に赤くはれてくる型のもので、朝起きたら目が見えない程赤くはれてもう痒くて痒くてなどといわれるものです。

 赤く(発赤)+はれる(腫脹)+ほてり(熱感)+強い痒み(掻痒)があって、よく観察すると、ぶつぶつ(丘疹)+丘疹の頂点に透明様の漿液を貯留するもの(小水疱)がみられます。

 この炎症の極大は、普通1日(24時間)~2日(48時間)のうちでみられます。

一般的には皮膚科を訪れるのが常識ですが、それのできない場合は、化粧を中止して微温湯でつっぱり感をいやす程度の手当がよく、その後薬や化粧品を使わなければ、一過性ですから、重症と思われる人でも96時間(4日)からそれ以降に自然に消退します。

 痒みがとれて約5日目にはよごれた卵のからをむいたように美しい肌に戻れるものです。

 

2)はじめから肌アレがあって、またカミソリを用いた後などに小さい傷をつくって、ヒフの防御帯が破られている上から化粧品などを使った場合、特にローションでピリピリします。

 こうした防御を失ったヒフへ、化粧品を使った後(特にマッサージをした場合に多くみられます)ヒフが赤く+ピリピリ感を伴ってカブレる痒みのある肌です。

 

3)ヒフを少しでも押さえたり、こすったり、マッサージなどの化粧品の使い方をすると、毛孔をスリコ木でかき回すと同様のことが起こって、ヒフへ侵入させてはならない化粧品成分まで侵入させます。

 

 このうち(1)は、アレルギー性の接触皮膚炎(カブレ)で、その特徴はあるものをヒフに使ってから数時間からそれ以降に痒みを生じたり赤くはれてくるという一つの型をもっています。

 (2)、(3)は、アレルギー性機序(しくみ)を欠いた型のもので、美顔的にはその人のヒフに「不適当な化粧品の使い方」からきているものが多いようです。

 これは皮膚科で急性皮膚炎の多いのに比べ、美顔教室ではカブレがなおらなくてという肌アレを主とした慢性皮膚炎がほとんどをしめている違いによるものです。

 この99%のほとんどの方がアレルギー性のカブレと異なるのに、ご自分ではアレルギー症状と思い込んだり、また間違った手当をしてなおらなくて悩んでいるのです。

 美顔的にみる外用ステロイドによる副作用の問題も考えてみればわかるように、黄色人に適さない「使い方」が大きな原因であって、それによるカブレの延長としてみられるのです。

 カブレによる原因はいろいろと複雑なだけに美顔師が「手をやく」ことは確かです。ご安心して早くお手入され心の豊かな生活に戻っていただきたいものです。

光と接触してカブレを起こさせる光感作物質

 光感作物質とは、光を吸収したときヒフに炎症を発生させ、「紅斑+痒み」などのカブレを起こさせるような物質のことです。

日光によるカブレ(光線皮膚症)

 光線皮膚症とは、日光に当たってヒフに炎症を起こすいろいろな病気をいいます。

これは過度の日光照射によって正常の人でも起こる日ヤケと、光線に過敏な人に起こる光線過敏性皮膚炎(カブレ)とに分けられます。

 日ヤケは、数時間後に赤み(紅斑)、むくみ(浮腫性腫脹)、(ほてり)灼熱感、および疼痛がみられ、ひどいときには水ぶくれ(水)⇒皮がめくれる(落屑)⇒色素沈着を起こします。

 光線過敏症皮膚炎は、日光に過敏な人のヒフに普通の範囲の量の光線が作用して強い炎症を起こすもので、光感作物質がヒフに存在していることが必要です。

 この光感作物質が人体の外からもたらされたか、あるいは体内で発生したかによって,体外性と、体内性とに分けられます。

 体外性では光感作物質がはっきりしていますが、体内性のものは推測されているだけで、ほとんどが光感作物質不明の疾患といわれています。

 化粧品を手にする者にとって気になるのは体外性の皮膚炎で、それは主に次の二つに分けられます。

①日光カブレ(接触性皮膚炎)はヒフの中に感作物質があり、日光に当たっただけで全身のカブレを起こすものをいいます。

②日光マケ(全身性光線皮膚炎)は薬剤を内服、注射、吸入することによって、また食餌などにより体液中に光感作物質が入り込み、一部のヒフに日光が当たっただけで全身のカブレを起こすものをいいます。

体内性のものには、日光だけでなく蛍光灯やネオンランプの光でカブレる場合もあります。また遺伝的な疾患もありますから、顔面以外のカブレは専門医師の指導を受けることが大切です。

接触皮膚炎(カブレ)

 ヒフのカブレは何かの物質がヒフに接触することによって発生するものです。

たとえば、毒物性皮膚炎とか、薬物性皮膚炎、またアレルギー性接触皮膚炎と一般にいわれるものです。

 これらのカブレの中で、ヒフに対して何かの毒物あるいは刺激物が作用して、その一次性の刺激によってカブレを発生させたものを一次性刺激による接触皮膚炎といっています。

毒物性皮膚炎を発生させる主なもの

 植物:うるし、はぜ、いちじく、ぎんなん、毒つた、サクラ、草など。

 動物:蛾の鱗粉、毛虫など。

 化学品または化学製品:酸、アルカリ、肥料、農薬、機械油、工業薬品、鉱油、石油、ゴム、プラスチック、色素、洗剤など

 薬物性皮膚炎:白髪染、パーマ液、化粧品、香油、絆創膏など。

アレルギー性機序によって発生するもの

 接触物質によるアレルギー反応で生じた皮膚炎アレルギー接触性皮膚炎、あるいは抗原抗体反応性接触性皮膚炎といいます。

 これはある原因物質(抗原)に対して抗体を持っている特別の人にのみ起こるものですが、接触してから24~48時間たってから症状が現れます。

 しかも、一度の接触では起こらず、刺激が何度か繰返されているうちに起こるので、原因が思いあたらないことが多い。

 アレルギーを起こすもととなる特定の物質のことを感作物質(あるいは抗原物質)と言います。

 ごく微量であっても皮膚が過敏な防御反応を示し、カブレといった症状を起こしてしまうのは、先天的なアレルギー体質による場合もあり、また後天的なアレルギー獲得による場合もあります。

 一時刺激性のカブレは、刺激物の量、濃度によって反応の有無や程度が異なりますが、これに対してアレルギー性のカブレは、量や濃度とカブレの程度は必ずしも比例しません。

 つまり、アレルギーは量的反応ではなく、質的反応なのです。

アレルギー症状

 抗原(アレルゲン)は大気をはじめ、日常生活中千差万別いたるところにあります。

この中の特定な物質に対して蕁麻疹が出たり、ゼンソク症状をおこしたり、口の中や唇がはれたり、腹痛、下痢を起こしたり、鼻がむずかゆくなったり、くしゃみや鼻水が出たり、眼結膜の充血や頭痛がしたり、ヒフが痒くなったり、紅斑ができたり、湿疹が出たり、その他種々の症状をみますが、これらは抗原感作によるアレルギー症状といわれています。

化粧品とカブレ

 同じ化粧品を10年も15年も熱心に根気よく使っているような場合では、カブレは起こらないようです。これは1ヶ月、1年でも同じで、化粧するのがはじめての方でも毎日連用する限りアレルギー性のカブレは起こりません。

 これは使っている化粧品成分の抗体が生体で生産されるようになっても、根気よく連用されている化粧品の抗原のために、後から生産される抗体は蓄積の「時間」がなく、次々生産されていてもごく小さな生体に感じない程度の反応で、先の抗原のために抗体が打ち消されているのではないかと思われるものがあります。

 そして1週間くらい「しばらく間をおいたのち」また同じ化粧品を使って「赤く+はれて+強い痒み」のカブレを起こされた方がいます。

 このカブレこそアレルギー性接触皮膚炎といわれるもので「しばらく間をおいた」その抗原不在の間に、打ち消されることのなくなった抗体の蓄積で、そこへまた同じ抗原が侵入したため抗原抗体反応という急性のカブレを起こしたものです。化粧品を使っていて肌アレなど生じてくる場合十分注意されなくてはならない、美顔での一形態ではないかと考えます。 

カブレが合わないものを教えてくれる

 人間が生活環境を乗り越えて生き続けられるのも、また美しいお顔で生涯をすごすことのできるのも、生体の「防御反応」という、ヒフの炎症に伴うカブレがあるからです。

 したがってカブレは自身に適さない物質の侵入に対して、これを教えてくれる「ヒフの表現」と理解されるべきでしょう。

 カブレとはこのように生涯の生活環境の中でその人に適さない「ある物質」の生体内への侵入を防衛する生態防御機構(しくみ)の表現です。決して恐ろしいものではなくて実に有難い現象なのです。

 したがってカブレの発生した場合はそれに感謝し、手早くその働きを補う心が大切で、いわばそのいたわりの心がカブレの手当です。

 更に、カブレの手当とは、その状態に適応した慎重な手助けと考えるべきでしょう。

カブレの手当の注意

①手当は、湿布によって炎症をとることからはじまりま

す。先ずヒフに付着している、カブレのもとにな物質を刺激を与えることなく拭き取ります。

 次に、角層に十分ローションを与えてから、手早くパスターパックをし、ガーゼで作ったお面を軽くかけます。上からローションを与えて湿布します。

 これは炎症によって生じるヒフの熱を、湿布液の「気化熱」によって消退させるもので、はじめての方では必ず15分間で湿布を外しヒフの紅斑の有無を観察します。

 湿布の場合、ローションを続けて2回与えますが、2回つけ終わった後、すぐに冷たくなる人はこの湿布でなおる人です。

 5~6分間で痒みが止まり、15分間して紅斑(赤み)もなく、また薄くなっていればこの手当でなおるカブレです。後30分以上1時間まで湿布します。

 美顔では、数字が学問ですから、湿布して気持ちがよいからといってそれ以上長い時間は絶対にいけません。角層が長時間「ふやける」と強い肌アレの形で副作用をまねきます。また湿布して15分間の後、いぜん痒みと紅斑を有するヒフは、その湿布の「急冷」が刺激になって、毛細血管を収縮しシモヤケ状のカブレか湿疹性に移行する症状ですから、手早く緩和な冷湿布に切り替えます。

②冷湿布は、ガーゼにシワを作ってローションを用います。15分間行って、外して紅斑の有無と痒みについて聞いてみます。

 普通のカブレではこの手当でほとんどなおるのですが外用ステロイドなど薬を長期間使っていたカブレでは、この湿布も刺激になって、なお痒みと紅斑が消えないヒフがあります。100~1000人に1人位と思われますが、次ぎの手当で必ずなおすことができます。

③水道水を使って、②と同様の湿布です。

それでも反応するヒフは、最後の手段で微温湯を用います。

④大きな洗面器へ先に水を入れ、次に体温に比べて(手を入れて)冷たくも、ぬくもりも感じない程度までお湯を入れて微温湯をつくります。そして両手の平でごく軽く、何回でも、普通5~6分間顔にかけるように使います。このぬるま湯の手当は、24年間もなおすことのできなかった顔面のカブレの方から、10年前後の重症といわれる方、薬や化粧品も全く受けつけない方にも、これだけはヒフがうけ入れて落ち着くという無刺激の手当です。後はご自身で「つっぱり感」と相談して、ぬるま湯を適当にかけるように使います。10分後、30分後、1時間後とつっぱり感はやわらぎます。普通6日目にはつっぱり感の無い正常肌になりますが、それから2週間、朝晩の洗顔もぬるま湯をつくって同様に用います。手をやくカブレの手当はこれが一番安全な方法で、薬も化粧品も一切使いませんから心配することなくヒフは自力で数字通り快復します。

 2週間後はパスターパックの手当が効果的で「ヒフを保護する化粧」の指導をうければ、普通の人と同じように美しいお化粧ができます。

 このような湿布の手当は湿布液の上手な気化のさせ方に「コツ」がありますから、はじめての方は必ず美顔師の指導で行なってください。

 昔から電話でのカブレの相談は美顔教室へすぐ行けない人に限って無刺激な微温湯のお話をして、正常ヒフになってから生涯の美しい肌をえるために美顔教室をおすすめしています。

 ご相談される方もうける側も無刺激で最も安心して責任をもてる手当方法の一つです。